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執筆者の写真吉弘 岡田

子ども向けに、オンライン実験教室を実施しました


緊急事態宣言の延長が発表されましたが、感染拡大のためには仕方ないと思うと同時に、

「まだこのストレスフルな自粛生活が続くのか―」と落胆された方も多いのではないでしょうか。


ストレスをためても仕方ありませんので、前向きな気持ちで、

こういうときにしかできないことをやっていきたいですね!


かく言う私は、まとまったblog記事を書くようにしています。


ロフレックのblogは、これまでも頻繁に更新してきておりますが、

それらの多くの投稿は、記事としてしっかり書いたものというよりは、

ニュースリリースのようなかたちのシンプルなものが多いです。


これを機に、日ごろの活動や気づき等を、ブログ記事にまとめておくことも

今後のためになるかなと思い、書いています。


 最近の記事


さて、本記事は、子ども向けオンライン実験教室についてです。


これは、RoFReCが、子ども向けのオンラインイベントとして、ゴールデンウィーク中に取り組んだことをもとにした内容です。そこから考えたことや気づいたことをまとめてみたいと思います。


コロナによって学校の休校が続く中で、「いまこそオンライン化!」といって、オンライン学習は、公教育や学習塾などで話題となっています。

昨日も、大阪市が子ども1人1台ノートパソコンを配る方針を発表しました(NHKニュースはコチラ)。

ニュース記事によれば、自宅でオンライン学習ができる環境を整える費用に96億1100万円を計上とのことです。

素晴らしいことと思います。

これは、大阪市長や大阪市教育委員会の覚悟のあらわれだと思いますし、

いままさに子どもたちのために、大人が決断すべきことの一つだと思います。


そういう時代の流れの中で、オンライン教育に関心のある保護者や教育関係者の方に、本記事の内容が、少しでも参考になればと思います。


以下、本記事の要約となります。要約を読んで、内容に興味を持たれた方は、記事を読み進めていただけるとさいわいです。


 

・オンライン実験教室では、子どもたちと対話的であることが大事です。「仮説をたててごらん」と投げかけて、適量のヒントと十分な考える時間を与えることが大事です。


・オンライン実験教室では、子どもたちに着目して欲しいところを、カメラを近づけてアップすることができます。演出を加えながら、実験に対する、子どもたちの好奇心を引き出すことが大事です。


・オンライン実験教室では、ご自宅にあるもの(例えば、料理の調味料等)を使って実施すると良いです。子どもたちも自分で実験をやってみることができます。

 



① オンライン実験教室を実施する前段階として


さて、オンライン実験教室がいきなりできるものでもありません。

というより、実験に限らず、オンライン学習がいきなりできるものではない、ということです。


ご存知でしょうか?オンラインによる対面指導を取り入れている自治体は、全国でたったの5%にとどまることがニュースで報じられています。

オンライン学習の環境を広く普及させていくためには、のりこえていくべきハードルがたくさんあるんですね(NHKニュース記事はコチラ)。


オンライン学習を広く実施するにあたって、やはりご自宅でのオンライン環境を整備する必要があります。具体的には、端末やネットワーク環境の準備がそれにあたります。


そのためには、自宅のことですから、やはり保護者様の理解と連携が欠かせません。


ロフレックのような民間団体は、日ごろより保護者様と連絡をとりあっているため、信頼関係を築くことができています。LINE等で頻繁に連絡をとることができるんですね。


ですから、オンライン実験教室を実施するにあたっても、「わからないことはなんでも聞いてください」と言っておりましたし、どんな質問でもウェルカムにお答えさせていただいております。

例えば、タブレットやノートパソコンで操作している途中に、不明なことがでてきたら、

画面を写真撮ってLINEで送っていただき、その写真を見ながら、「次こうしてください」というフォローアップが可能なのです。


このような個別での対応もしながら、オンライン実験教室の前段階の準備させていただきました。

これも、ゴールデンウィーク中の自粛中だと、お互い時間がとりやすいために、対応がしやすかったですね。

外出自粛は、オンライン学習を前に進める上では、チャンスともいえると思います。


ゴールデンウィークのオンライン実験教室の様子



② オンライン実験教室のつくり方


では、オンライン実験教室のつくり方をご紹介していきます。


まず最初に断っておきますと、オンラインツールは何でもいいと思っています。

使いやすい使いにくい、便利機能のある・なしは、もちろんありますが、

ツールはつかいこなさないと意味がありません。

もし本記事を読んで、オンライン実験教室をやってみようと思う方がおられたら、

日ごろより慣れているツールをお使いください。


ちなみに、ロフレックではZOOMを活用しています。

ZOOMは、保護者様のスマホでも利用できますし、接続が安定していますし、アカウント等の事前準備も必要なく使えるためです。


さて、本題に入りましょう。

オンライン実験教室の流れは、だいたいこんな感じです。


  1. オンライン実験教室の進め方を伝える

  2. 実験前のインプットを行う

  3. 仮説を考えてみよう

  4. 実験してみよう

  5. 実験後のインプットを行う

  6. 自宅でできそうな実験を示唆する

順番に説明していきたいと思います。



1.オンライン実験教室の進め方を伝える


日ごろのリアルの教室でも心がけていることですが、まず最初に、「見通しをたてる」ことが大事です。

「これから〇〇をしますよ、そして、その次に××をします」ということが、視覚的に伝わることが大事ですね。


オンラインの場合は、子どもたちがどのような環境にいるか各々異なります。


近くで弟や妹が遊んでいるかもしれないし、Wi-Fi環境が安定しなくて言葉が途切れ途切れになっているかもしれない等、あらゆることが想定されます。


ですから、パワーポイントでもメモ帳でもなんでもいいと思うのですが、

きょうの流れをまとめた資料を準備をしておき、それを画面共有して、

視覚的に子どもたちに伝えるようにするといいと思います。

↑子どもたちの端末の画面に表示される


そうして、オンライン実験教室の大まかな流れを、子どもたちと共有することができます。


また、この際に、「わかったー?」とか、「みんなちゃんと見れてるか―?」とか、こちらから投げかけを行っていくことで、コミュニケーションをこまめにとることも効果があります。オンライン実験教室は、ビデオ視聴とは異なります。対話的にしていくことで、受動的な講座ではなくて、参加型でいいんだよというメッセージにもなっていきます。



2.実験前のインプットを行う


さて、次は、実験前のインプットについて説明します。


オンライン実験教室の内容のコアは、このインプットと実験がセットです。


誤解のないように断っておきますが、RoFReCのオンライン実験教室では、

子どもたちはリアルの実験を行いません。

実験を行うのは講師だけで、子どもたちが講師の行う実験を画面上で見ることになります。


子どもたちが、実際に実験を行うのであれば、やはりリアルのイベントがいちばんです。

体験をともなうことで、より深い感動へつながる可能性が高いため、

リアルのイベントはやはり価値高いです。

この点は、オンラインイベントはやはり限界があるのかもしれません。


だからこそ、リアルとオンラインのそれぞれの良さを組み合わせることで、学びの相乗効果を生むことができると考えています。

それについては、前記事に書きましたので、よろしければご覧ください →前記事


では、オンライン実験教室は、どのような内容にしていくのか?


オンライン実験教室でも、前のめりな子どもたちの学びを引き出したい!という思いから、オンライン実験教室の内容は、家庭生活に身近なものにしようと考えました。つまり、子どもたちがオンライン実験教室で見て、「面白い!」と思えば、自宅で自分で実験ができるようにするのです。


いいかえれば、オンライン実験教室で知識のインプットと興味関心を引き、

リアルの実験体験は、子どもたちにゆだねるというやり方をするのです。

そのように考えれば、オンライン実験教室の内容の方向性が定まります。


本記事では、水と油をテーマとするオンライン実験教室の内容をご紹介したいと思います。


↑テーマは水と油。料理用の油は、自宅ですぐ使える。



3.仮説を考えてみよう


水と油はまざらないんだよ、という説明をします。

それについては、知識としては知ってる子も多いようですね。

水と油、ということわざもあるくらいですし。


だけど、「水と油をまぜたことある?」と問うと、

そういう経験をしたことがある子は少ないようです。

大人でも、水と油を意図的にまぜてみたことある方は少ないかもしれませんね。

化学系企業につとめていらっしゃるような方にとっては、分液ロートで二相系の溶媒を使うのは、日常の風景でしょうが、なかなかまざりあわない二相の液体を扱う職種も少ないと思います。


だからこそ、いい題材だと思っています。


「では、水と油をまぜてみましょう!」という流れで進めていきます。


ここで、一旦、画面共有を終えて、実験をする講師にビデオを固定します。

ZOOMの場合、音声を検知した人が映るようになっているので、

講師以外を全員ミュートにして実験を行うという手もありますが、

実験する講師にビデオを固定したほうがやりやすいでしょう。


油は、サラダ油をつかいます。まあ、油ならなんでもいいのですが、ご家庭にある油でいちばん量が多いのが、サラダ油じゃないでしょうか。


小さな無色透明のバイアル瓶に、水を入れて、そこに、サラダ油を入れて、攪拌をします。

このとき、料理用のサラダ油は少し色味がついているため、水とサラダ油の境界線がわかりやすいので都合がよいです。


水と油の境界線をZOOMでアップで見せながら、「どうだー?まざってるー?」と問いながら見せます。

「まざっていなーい!」って声が聞こえてきて、伝わったことを確認します。


これをもって、子どもたちは「水と油がまざらない」ことを実験によって確かめることができます。


水と油はまざらない


そして、次に、他の液体ではどうだろう?と問いかけをします。

油以外にもいろんな液体があるので、例えば、塩水とか、醤油とか、オレンジジュースとか、身近な液体をだしながら、水とまざるかどうかを話します。


その後、以下の写真を見せながら、仮説をたててみましょうと投げかけます。


実験用に準備した3つの液体


先日のオンライン実験教室では、以下の3つを準備しました。


①ごま油、②料理酒、③ブタノールです。ブタノールは、自宅にはないと思いますが、お酒(エタノール)に類似したアルコール成分として使いました。


ここで、仮説をしっかりと考えられることが大事ですね。


「じっくり考えてねー」と問いかけると、ZOOMにはみんな真剣に考えている様子の表情が見えてきます。

子どもたちの表情がよくわかるのも、オンラインの良さの一つだと思いますね。

もちろん、ビデオをオフにする子も中にはいますが(恥ずかしさからかな?それもOKにしています)、ZOOMごしにも、子どもたちの真剣な様子が伝わってくるものです。


仮説をたて終わった子は、「わかった!」とか「できました、先生」とか伝えてくれますから、「みんなが考え終わるまでもう少し待っていてね」と言いますと、静かに待っていてくれます。

はやく終わった子たちの中には、チャットを書いている様子もありますから、もしかしたら、個別でチャットのやり取りをしていたりするのかもしれませんね。

そういうお互いのインタラクションも、ZOOMの面白さだと思います。



4.実験してみよう


さて、いよいよ実験です。


ここからは、講師が段取りよく、演出も加えて、実験をしていきます。


今回の実験で言えば、水と他の液体が混ざり合う瞬間が注目ポイントですから、そこをZOOMでアップします。

ごま油、料理酒、ブタノールと順番に、それぞれのバイアル瓶で水とのまぜあわせながら、

まざっているのか?二相にわかれているのか?を見ていきます。


実験の最中には、「いまどうなっている?」と、観察を促すように投げかけるのも大事ですね。それに対する子どもたちの反応を見ながら、子どもたちに実験の様子がどのように見えているのか、感じながら実演を進めます。

実験結果を固唾をのんで見守るよりは、コミュニケーションをとりながら、和気あいあいの雰囲気のほうがいいと思います。

例えば、「実験は、条件を同じにしてやらないと意味ないんだよ~」とか、実験手法についてのトピックや雑談を交えられるとよりいいですよね。


私は有機化学が専攻でしたから、これぐらいの実験はすぐにできるのですが、心配な人は、練習をしておくといいかもしれません。

油をパソコンの上にこぼしてしまったりしたら大惨事ですから(笑)



5.実験後のインプットを行う


実験が終わりました。


結果は、①ごま油(まざらない)、②料理酒(まざる)、③ブタノール(まざらない)となりました。


子どもたちに、仮説があたっていたか、はずれていたか、感想をたずねてみます。みんなそれぞれ考えて、仮説をたてていますので、あたれば喜ぶし、はずれると少し残念そうだったりします。なんとなく、クイズ大会っぽくて盛り上がります。


さて、実験の結果について本質的なことを説明していきます。


今回は、水と油、つまり二相系の溶媒がテーマですので、それらを説明するために極性について説明をしていきます。






極性について、完全に理解することは、小学生には少し難しいかもしれません。

でも、化学のふしぎに触れて欲しいと思い、なるべく平易な言葉で説明を心がけます。



6.自宅でできそうな実験を示唆する


これらの説明が一通り終わったら、最後に、自宅での実験を示唆します。


みんなの家の冷蔵庫に入っているものは、水とまざるかな?という感じですね。


ドレッシングは?みりんは?オリーブオイルは?


もちろん子どもが勝手に実験をやってしまっては、台所が惨事になってしまったはいけませんので、「実験をやる場合は、家族に、ちゃんとやっていいか相談してからにしてね」と注意をそえます。


オンライン実験教室のいちばんの魅力は、自宅にいることで、

自宅にあるものを使う実験は、思いついたらすぐできることです。

どうなるんだろーっという好奇心をホットなままで、実験ができます。

親子でも参加してもらえるとよりいいかなと思ったりしています。



③ さいごに、オンライン実験教室を実施して感じたこと


さて、いかがだったでしょうか。


ロフレックのオンライン実験教室では、子どもたちとの対話をこころがけました。また、

実験に対する興味関心を引き出せるよう創意工夫を行いました。

オンラインでは、なかなか実際の実験はできませんが、

実験のテーマは、家庭にあるものや生活の中にみえるものを取り上げたことで、

自宅での実験を促しました。


結果としては、自宅で実験してみたという子もいましたし、好感触だったかなと思います。水と油に引き続く実験テーマは、「せっけんの秘密」として、オンライン実験教室の第2弾を実施したところ、

多くの子たちが参加してくれ、思った以上に子どもたちや保護者様の反応がよかったです。

日ごろのプログラミング教室だけでなく、新たな企画を歓迎してくださったようで、

RoFReCとしても、とてもありがたいことだなと思っています。


このような、オンライン実験教室のチャレンジのきっかけも、またコロナです。


新型コロナウィルス感染症の影響が長期化する中で、弊害はもちろんあります。

例えば、3月中に開催を予定していたイベントや研修会はぜんぶ延期や中止ですし、4月に開室を予定してた広島教室も延期になっております。


だけど、この外出自粛といういままで体験したことのない環境は、考え方を変えれば、

新たなチャレンジを生むものです。

飲食業界で言えば、テイクアウトやデリバリーのサービスがそうでしょうし、

芸能人やアーティストもオンラインをつかう様々な表現にチャレンジしています。


そのようなコロナの影響があらゆる業界に広がる中、新たな教育事業のチャレンジ、

オンライン実験教室を行うことができました。

感想としては、「面白いし、子どもたちにもうけるし、学びとしても深いぞ」ってな感じです。

まだ荒削りな面もありますが、今後も機会があれば、継続していきたいと思っています。


最後になりましたが、コロナに負けずに、この状況を楽しみながら乗り越えていきましょう!

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